相場が節目を迎えた為、今日は拡大版でお届けします。
VIX(恐慌指数)が30を再び越えてきました。30というのはちょうど平常相場と恐慌相場の分岐点といわれていて、ここを一気に越えてきたというのは大きな意味を持ちますので、現在の相場心理・シナリオをよく理解しておくことが重要です。
- 予想以上に悪化した米雇用統計をきっかけに利益確定・損切りと短期の空売りが加速
- 今週から米企業の2Q決算発表があり、これを見極めたい思惑から買い手が手控え
- 買い手不在の中、短期筋が先物売りを主導して株価がさらに下落
- テクニカルな節目を割り込んでプチパニックに突入
テクニカルにはNYダウが8000ドルを割り込まない限りは調整の範囲といえるでしょう。そういう意味では、むしろここは反発の兆候を待ち構えて買いで攻めるタイミングです。
が、しかし。その戦術が通用するのも、今週から本格化する米企業の2Q決算の結果次第です。現在市場は悲観的な結果を織り込んでいますから、予想通り程度の決算であればむしろ上昇要因になります。決算が予想通りであれば、まず短期に空売りをしていた勢力が利益を確定する為の買戻しを行う必要があるためです。
一方、予想を超えて悲観的な結果となると空売り勢はさらに勢いづき、買い手側は重要水準であるNYダウの8000ドル割れ前後付近まで動かないと思われます。つまりまだ200ドル近い下落幅を残しているということです。
米国決算に注目が集まっていることから、アルミ製造を行っているアルコアの決算への注目が日本国内でも高まっています。アルコアの業績は資源価格の見通しにもつながり、リスク志向の手がかりになりますから、単なる一企業の決算として以上に注目が集まっていることに注意すべきです。
アルコアの決算発表は日本時間で9日早朝5:00以降。今日はヘタに夜遅くまで起きてもムダなだけと思われますので、早めに寝てしまったほうが良さそうです。
なお、決算発表はアルコアだけではありませんので、ご注意を。短期には大きく値動きするかもしれませんが、それが確かなトレンドになるためには、いくつかの会社の決算を見極める必要があります。
● ドル円
95円を本格的に割れてきており、単に相場がどうこうという話を超えて、日本経済にとって深刻な局面を迎えていると考えます。
筋の良い売りのポジションのみを保持し、他のポジションは基本的に全て決済すべきと考えます。市場が薄くなっていますので、寝てしまうのであれば、安全圏は95.10以上の売りポジションと考えます。
ドル円は一足先に重要局面を迎えており、テクニカルな節目でもある93円後半を射程に捉えていますので、そろそろここは一息というところでしょうか。私もアルコアの決算を見極めたいので、今日は取引は見送りです。
もっとも、米決算はこれで終わりではありませんので、特に買い側は慎重を要します。テクニカルには95.40越えあたりがちょっとした順張り買いの目処になります。現状水準では遠いといわざるを得ません。素直に短期の取引で一部の利益を確定すべきでしょう。この後も決算は続きますから、多少良かったくらいで調子に乗らないことが大切です。
逆に売り側は、決算結果が予想を超えて悪化していればガツンと売り込んでしまっていいと思います。このプチパニックに便乗しましょう。その場合は93円後半が目標になります。なお、93円後半で円高が止まったとしても、95円という重要水準を割れている上に巨大なもみ合いを放たれている為、さらに下値を拡大する可能性があります。
● ユーロ
節目である1.390を割り込んでいます。ただ、米国の決算見極めという事情で単に市場が停滞する中、このままさらに1.380を襲うという展開は想像しがたいものがあります。突っ込んで売りすぎないほうが良さそうです。
一方買いも、先日逆張りの目処としてあげたNYダウ8200の節目を割り込んでいますので、まずはここを回復するまで買いは手を出さないほうがよいと思います。その前提で、アルコアの決算結果が市場予想通り程度なら、買いで入りなおすのがいいでしょう。決算発表じは場は終了していますので、先物価格を参考にします。
逆に決算が悪ければ、1.380割れも順張り売りの目安になります。
● 豪ドル
目先固めていた0.79を割り込みましたが、豪ドルの重要水準は0.78付近にあります。ここを割り込むと日足で見ても大きな調整が発生する水準。90日移動平均辺りまでの調整を見込む必要が出てくるでしょう。
冷静に考えると、懸念が拡大しているのは米国経済だけなのですが、昨日からパニック的なリスク志向の後退が起きており、豪ドルもその影響を受けています。逆に市場が冷静を欠いている時ほどチャンスともいえますので、決算結果を見極めましょう。決算発表はオセアニアの早朝時間に被ります。
ちなみに、商品市場の規制強化の話題も影響しているようですね。まぁ、為替と違って商品相場は投機資金が過剰に流れ込むと一般の人が迷惑しますから、規制すべきだと私も思います。そりゃ豪ドルを買ってる身としては多少は痛くもあるんですけど、商品市場の規制強化については歓迎したいと思ってます。
● ランド
ZRA/JPYの節目は11.50前後にあります。11.50台は底値買い意欲があり、短期にも買いが入りやすい水準となっています。一方で、11.40台の損切りの売りが規模が大きく、ここをタッチしてくると、買ってる人には手痛い展開が予想されます。
ランドのサポートというのは大局の前にはアテにならんです。特にクロス円で買っているとドル円の大局に巻き込まれてあっさりサポートを割れたりするので、心の準備はしておきましょう。
● 日経平均
ドル円が95円を割り込んできているため、日経平均も9500円を割り込んでいます。ある意味、分かりやすくはありますが・・・・。
9500円割れ辺りでは買いが出てきているようですが、それが続くかどうかもアルコアの決算次第。明日の市場が開く前には決算結果は出ていますから、次の戦略はそこで考えたほうがいいでしょう。
アルコアの決算が予想通り程度であれば、米株の持ち直しという要因はもちろん、日本は景気回復の遅れ&政治リスクによって円安が進む為、力強い反騰が発生する期待もあります。
一方、下値の次の目処は9200円。ただVIXと円が共にこれだけ上がっていると、ここまで米株に比べて堅調だった日本株が「調整遅れ」というまったくの逆評価となるため、9200円程度では止まらない恐れもあります。
結局今いえることは、次に動き始めれば大きくトレンドが出るということくらいかもしれません。ただ、下げを主導してるのは実は米国だけ(豪株などは耐えている上、欧州は指標堅調)なので、パニックに巻き込まれて冷静さを欠くようなことはないようにしたいものです。