為替介入は”ない”と思います。

話題になりそうなので先に書いておきます。ここ最近円高が進んでいます。コレを書いている時点で93前後。

しかし現時点で為替介入の可能性はほぼゼロと思います。現在の水準は以前の円高水準(90円割れ)に比べれば”マシ”であるのが理由の一つですが、何より最大の理由は政府の側。

昨今の政治混乱はご存知の通り。世の中では為替介入なんて「その気になったらいつでも出来る」と思われているようですが、実際は政治力と密接な関係があります。ある程度安定した力のある政権でなくては、為替介入は実行できません。

なぜなら、為替介入には外交調整が必要不可欠です。また、円安介入はやればやるほど「赤字」が累積する、つまりは税金を消耗しますから、少なくとも単に為替を安定させる以上の見返りが得られるときにやるべきものです。要は為替介入とそれに伴う米国債の購入は重要な外交カードであると言っています。

ところが、現麻生政権は支持率が急落して以降、ほぼ外交機能は麻痺しています。もうあと数ヶ月で止めることが分かっていて、もしかしたら与党の座すら失うかも知れないリーダーといったいどこの国が真剣に取引をしようとするでしょうか?っうか、諸外国も大変困っています。

しかし本人がそれを自覚していながら首相を続けているのですから仕方がありません。最近は財務相も口先介入をする余裕すらないように見えますから、まぁ今の政権がお金を動かすことなど不可能に近いでしょう。

――まぁ、こんなことを書くと、根強い麻生ファンから攻撃されそうなので(もう、私は「ファン」としか形容できません)、以下のようなニュースも紹介しておきます。

不透明な民主党マクロ政策、日銀出口戦略に影響も【ロイター】

一方で民主党の政策は財政拡張的な色彩が濃いにもかかわらず財源が不明瞭であるため、国債発行増に拍車がかかり長期金利が上昇しやすいとの観測も出ている。「異例な措置」が長期化すればだぶつくマネーが全く新しいバブルを生むリスクについても市場ではささやかれており、総選挙後のマーケットは波乱含みだ。

要は与党だろうが野党だろうが、政権に力がないのが問題だと言っています。もう、贅沢言いませんから、何党でもいいから、少なくとも2年くらいをちゃんと続けられる内閣を作って欲しいです。

もっとも・・・・、じゃぁ政治的要因が解消されれば、為替介入すればいいのかというと、それはちょっと難しい問題。

今年前半の円高であれば間違いなくやるべきだったと思うのですが、現在の円高は以前に指摘したような『円高バブル』というのとはちょっと状況が異なります。介入しても、費用に見合った効果が上げられないかも知れないのです

現在の円高は、海外投資が手控えられたり、貿易収支が黒字に転換したりと実需の裏づけがあります。その上、海外勢は日本の政治リスクや景気回復の遅れをを既に認識しており、以前のように積極的に円を買おうという動きでもありません。

端的にいえば今の円高は「自然な円高」ということです。

私の持論は「介入はマーケットの思惑をへし折ったときが成功」というものです。ところが現在は折るべき思惑がありません。したがってこのような円高を介入で食い止めても、輸出企業に対する税金のバラマキ以上の意味はないと思うのです。

日本の主要企業の想定為替レートは95円です。代表的な輸出企業はこの水準を割れてくれば損失を計上する必要があります。なんか、以前にも同じ事を書いた気がしますが・・・、95円割れというのは日本企業にとってかなり痛い水準です。しかしそれでも、今は介入をすべきではないと思います。限りある税金が原資である以上、バラマキ以上の効果を上げなければいけないのです。為替介入を外交カードとして使える政権が誕生するまでは、為替介入は封印すべきです。

政権が外交出来る状態でさえあれば、為替介入して、米国債を買って、米国に恩を売って、日本は円安誘導が出来てウハウハ、というギブアンドテイクで簡単に決着が着く話だと思うんですがねぇ。

ちなみにこのままドル安を放置した場合、既に日本が所有している米ドル建て資産の価値は棄損しますから、日本政府がの含み損はさらに拡大して損失を被ることになることは最後に書き加えておきます。これは「ドルの罠」といわれており、最近では中国がハマっているようです。

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