ここでもっとも注目すべき点は、為替についてインタビューする相手はもはや内閣の財務大臣ではなくなったということ。しかもこの記事は経済方面の報道では定評のあるロイターのものだ。
為替市場でもっとも注目される発言は、日本では財務大臣や日銀総裁からもたらされる。米国ではオバマ大統領より、ガイトナーやバーナンキの発言が注目される。こうした傾向は国が変わっても同じ事だ。
そんな為替相場で、現職大臣の発言よりも野党の顧問の発言が注目されている。これは凄まじいことだ。
もはや市場は民主党の勝利を織り込んでおり、また自民党の敗北を規定路線としているといっていいだろう。そして争点は既に、民主党の政策遂行能力に移っている。
このところ日本株が他国に比べて明らかに伸び悩んでいるところからみると、現在の政治混乱がそうとうマイナス評価されているのは間違いなさそうだが、そのマイナス評価の一部には民主党の政策遂行能力に対する懸念も当然あるだろう。
以前に指摘したとおり、民主党云々というよりは、野党連合というスキームが政治の不安定を生む可能性が高く、冷徹に現状を評価すれば決してポジティブに捉えられるものではない。もっとも、自民党政権が続いたところで今の首相ではポジティブに捉えることなど出来るはずもない為、政治が話題になるとネガティブな風にしかならない。
政治が経済足を引っ張る日本の伝統は、まだまだ続きそうだ。