ドル安の弊害は火を噴く寸前

焦点:ドル安で原油バブル、米景気は二番底に陥る可能性【ロイター】

ドル安が原油市場にバブルをもたらして個人消費が抑制され、米景気が二番底に陥る可能性が指摘されている。

 

世界にとって大きなリスク、それはドルと円【日系BP】

世界には二、三の非常に大きなリスクがあって、その一つはドル。そしてもう一つが日本の円である。日本の公的債務(累積)は対GDP比で200%になろうとしている。OECD(経済協力開発機構)の最近の発表では、これが5年後の2014年には254%にもなるという。日本国債のアメリカ国債との違いは、ほとんど(95%)を自国民が持っていることである。海外からの投げ売りリスクは少ないが、5%と言えども売りが加速すれば暴落の危険性はある。とくに民主党になって予算規模が一段と拡大したことをネガティブ材料に見ている投資家も多くなっている。

これらの問題認識は私も同じだ。

最近、豪ドルのパリティ(1豪ドル=1米ドルとなること)が再び騒がれているが、もしこのまま米国がドルに対して何ら対策を打たなければパリティどころではすまない。現実にイメージしなければならないリスクというのは、マイナー通貨である豪ドルの価値が米ドルの価値に逆転してしまうという、そういう事態だ。
(念のために書いておくがパリティー突破を前提に投資を組み立てるのだけは避けたい。投資はまた別問題)

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米国は本音では穏やかなドル安を誘導しようとしている。そして非常時対策として始めた大規模な量的緩和の出口への道筋はいまだ作れていない。オバマやガイトナー、バーナンキはそのときがくれば非常事態宣言をいつでも解除出来ると思っている。だがそれは大きな過ちだ。

現に、未だもって、何も出来ていないではないか?昨年のリーマンショックから提示された問題の中で、何か具体的に実施された再発防止策があるだろうか?必要と言われた規制も、制限も、何も実現されてはいない。ドルをばらまいて課題を先送りしただけのことだ。

そして肝心の大規模な量的緩和の解除についても、今はまだそのときでないという理由によって先延ばしにされている。もはや忘れ去られているようだが、現在の措置は「100年に一度の危機」などという妄言が真剣に信じられていたときに実施が決まったものだ。現在では「20年に一度の危機」だったことが分かっているわけだが、それに応じてばらまかれるドルが5分の1に減ったりはしなかった。

すなわち、オバマ政権は金融政策については「何も出来ていない」という実績が出来上がりつつある。こんな実績を見せられて、適切な出口戦略が行えるなどと誰が信じるだろうか?

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そしてどうやら米国は基軸通貨というものの価値を理解していないようだ。あるいは超大国であることをやめるべきだという長期ビジョンをオバマが持っているのであれば話は別だが。米国が21世紀に入っても超大国であり続けられたのは、基軸通貨という武器があればこそだった。

軍事力が自分の身を守る以外には役に立たないこの時代に、基軸通貨という武器までも失えばどういう結末がまっているか?その結果は誰でも容易に想像できそうなものだが――。往々にして、それを持っている人たちはその価値を忘れてしまっているものだ。多分気がつくのは、それを失ってからだろう。

先のG20以降、米国は微妙に立場を変化させ、既にドル高転換への準備を始めたという見方もある。が、それを感じさせる要人発言はまだほとんど見受けられない。

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一方日本の民主党は、日銀総裁と財務相が口先でせっせと円高を誘導する一方で、国債大増発による円安に備えるというシフトを取っている。これは理論上はバランスの取れた良い手段だ。しかし現実には、政権発足早々市場のコントロールに失敗し、市場の洗礼を浴びる結果となった。というか、むしろ迷惑を被ったのは産業界だろう。

口先で市場をコントロールできるという根拠のない自信が生んだ失態だが、この洗礼は幸いだったかもしれない。少なくとも米国のように「後からどうにか出来る」というような安易な認識を持つことは、防げたかもしれないからだ。

この後は金融政策と財政のバランスを取りながら、過剰な円安の勢いをどうにかして削いでいくオペレーションが必要になる。ただ基本コンセプトがバランス方針にあるのであれば『1年程度は』時間を稼げるだろう。

まぁつまり、より正しく表現するなら。民主党はプライマリーバランス黒字化への道筋を1年程度で示す必要があり、これに失敗すれば、日本は過去の国としてアジアの小国に成り下がるだろう。

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