為替相場に重大異変の兆候?リスク志向の賞味期限切れと全通貨パリティ

凄く気になる動きが出てきていたので、ちょっと書いておきます。

● ドル円

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● NY株価

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チャートは4/9 23:40頃の1時間足。注目点は一番右側。ドル円とNY株価が全く連動していないことが分かりますよね?これまで、ドル円相場と株価はほぼ相関の関係にありました。特にNYの株価については8000ドルの大台を回復した大イベントであり、これまでの相場であれば、間違いなく上げていたところです。なお、掲載していませんが、ユーロに至っては株価に逆行し大幅下落しています。これはいったい何事でしょうか?

仮説1
このチャートを取った日は米国の祝日前で、相場に勢いがなかった。これが多分、一番無難な答え。もしこの仮説が正しければ、火曜日にも結果は出るでしょう。

仮説2
為替相場の注目は既にリスク志向ではなくなった。もしこの仮説が正しい場合、為替相場全体にとって極めて重大な転換点を意味します。これについて詳しく説明します。

日本では15兆円の経済対策が発表され、円高になるかどうかで専門家の間でも意見が分かれています。なぜなら、円にとって株高は円安を招く要素だからです。しかし海外勢は円の買い要素として判断しているようです。これは日本の重大リスクである政治リスクが低下しているという印象を与えているためと思われます。

一方、米国の景気は底打ちの傾向が見て取れます。経済指標からは住宅市場の下げ止まりが示唆されており、しかも政策遂行能力は先進国中でも極めて高いレベルにあり、国民の間には楽観的な観測が広がりつつあります。恐慌指数などの値も、市場心理が正常化したことを示しています。

しかしドルという観点から言うとこれもまた複雑なところで、バーナンキがドルを刷りまくってばらまくことによってドルの価値は下落し、基軸通貨としての地位も危ういという意見すら出ています。

こうした中、為替相場では「株高=円安、ドル安」の構図が崩れかけている可能性が出てきたのです。つまり、株価とリスク志向の回復という材料を全て織り込み、為替相場本来の題材である「各国のマクロ指標」「各国の金融政策」に話題が移ったと言うことです。

これまでに、消化が難しい様々なニュースが積み上がっています。日本の遅ればせながらの15兆円の景気対策(遅すぎ)とか、それをにらんだ解散と政治リスクの後退。一方米国は基軸通貨ドルを失う懸念の他、GMという今や小さな爆弾。そして各国で兆しを見せ始めたインフレへの反転兆候。またユーロ圏では、相変わらずパッとしない経済体制や政策遂行能力の一方で、かたくなにユーロの価値を守ろうとする中央銀行の姿勢。

こうした、複雑なニュースが積み上がったところに、株価という唯一分かり易い材料を織り込み終わってしまったという一服感が漂って、為替相場が身動きがとれなくなりつつあるのではないでしょうか?

もしこの仮説が正しい場合、ほぼ間違いなくドル円はレンジに入り込みます。そもそもドル円というのは非常に特殊な通貨ペアで、レンジで動きやすいという特徴を持っています。円安=株高という構図も、経済の教科書からすれば本来あり得ない話です。なぜなら、株高はその国の経済の強さを表すのですから、その国の通貨も高くなるというのが最も単純な考え方だからです。

その一方で、未だ政策不透明感が残るユーロは経済回復にもかかわらず、若干の下落圧力がかかります。今回の金融危機によってユーロの構造的問題が明らかになったことも大きいでしょう。端的に言って、ユーロは基軸通貨としてドルに取って代わるほどの価値はないと分かったということです。結局ユーロは、利下げを遅らせた上に、量的緩和の観測は消えていません。それに加え米国が強力な政策遂行能力で不況のそこからいち早く脱出しつつあることも大きいでしょう。つまり、金利面を考慮しても、ドルの方に優位があるのではないかとです。

一方で、豪ドルは若干の上昇傾向を受けます。未だ高い金利を保ち通貨は健全であり、オーストラリアの経済・財政も健全です。このためマクロ面からも豪ドルは下支えされることになります。

これらが示すところは結局のところ、全通貨パリティ(等価)です。私は「完全に理想的な世界では、全ての通貨はパリティ(等価)に向かう」という思想を持っているのですが、それはさておき。金融危機が一段落し、残されたものは、全通貨の超低金利(ゼロ金利)と量的緩和合戦です。各国の経済縮小を背景に、通貨の実力が拮抗し始めているとしたら・・・・。景気上昇までの踊り場として、一時的に「全ての通貨がパリティへの圧力を受ける」と考えるのもそう荒唐無稽な話でもないのではないでしょうか?

全通貨パリティというのは、世界経済に格差がない状態を示し、ある意味究極の理想とも言える状態です。それ故に決して達成されることのない目標なわけですが・・・・。金融危機を背景にその夢の欠片でも見ることができたとするなら、それは皮肉な話と言えるかもしれませんね。

なお、目先について補足しておきます。
仮説2が成立していたとしても、目先はリスクに慎重な東京市場が遅れて円売りに動きますから、株価とリスク志向に従ってもうすこし円安を誘導するでしょう。その結果、ドル円の主役は東京市場に移ります。最終的には105円あたりを天井として、95~105円のレンジを長い長いもみ合い相場になると予想します。

もっとも、ドル円を大量に買っている私としては、目先はとにかく円安に動いてほしいので、仮説1で事なきを得ることを願っていたりします。

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