ついに年央底打ち論まで飛び出した米国経済。取り残される日本

米経済の急降下、年央に収まる見通し=国家経済会議委員長【ロイター】

同委員長は「米経済は昨秋の中ごろ以降、ボールがテーブルから落下するような感覚だが、今後数カ月以内に落ち着き、この急降下の感覚はなくなると、ある程度の確信を持って言えるだろう」と語った。

 

Tech総研ブログが閉鎖されており、自分の書いた過去記事を確認できないんですが(過去記事の移設についてはブログのリニューアル再開と併せて検討中です)、確か去年の金融危機真っ盛りのときに、今年の見通しとして「3Qで米国経済は底打ち。日本経済の回復は遅れる」という趣旨の記事をアップしたと思います。記憶あいまいですが。

こうして振り返ると、見通しとしてはなかなか当たっていると思うのですがどうでしょう?もっとも、同時期に立てた予測「中国横ばい」「オーストラリア若干回復」のほうがしっかり外れそうな気がしていますが・・・・。

最近は「100年に1度というのはさすがに言い過ぎで、せいぜい20~30年に一度の不況だ」という声も聞かれます。実際、過去の歴史を振り返ってみると、今回程度の相場下落は100年のうちに過去4回起きています。とかく人間の感覚というヤツはアテになりませんね。

「○○主義が終わった」等という言葉は過去の不況の際にも必ず聞かれたものです。一番酷いときが「資本主義は終わった」ですね。トヨタ自動車もHPも、その資本主義が終わった頃に誕生した企業です。トヨタは世界最大の自動車メーカーであり、HPは世界最大のIT企業です。さて、私達は何のために歴史を学んでいるのでしょうか?

私達が解決しなければいけない問題は極めて具体的です。タックスヘイブン規制、ヘッジファンド規制、基軸通貨の見直し。これらは全て大きな意味を持ちますが、冷静に考えれば「行き過ぎていたものの修正と改善」の域を出るものではありません。当たり前ですが、米国が突然社会主義国家になったりはしないわけです。人の本質に近いところのものほど、簡単には変わりません。おそらく米国では上記の策以外にも、金融機関幹部の報酬制限や、やる気のない自動車メーカーの整理が必要ですが――、言ってしまえばその程度で済む話です。

今そこにある現実に目を向けましょう。そもそも上記のような対策は全て、何ら実現していないのです。対策の核である不良資産の買い取りさえ、始まっていないのです。こうした具体策が実現しないままにもかかわらず、米国経済は底打ちの様相を見せています。それも、先進諸国中最速で、です。そしてついに3月のヘッジファンド収益はなんとプラスに転じました。これが何を意味するか考えるべきでしょう。

米国は不況を脱出する為に前例のない方法を用いました日本が不況を脱出した政策をより強化して、毒をもって毒を制すようなハイリスクなプランを投入し、危機を乗り切ったわけです。ところが今では、既に議論は出口戦略に移っています。要は今後起こりうるインフレ対策を既に考えているということです。

一方日本では、米国の景気が年内にも底打ちするかというときに、ようやく本格的な経済対策が議論されている今日この頃。不況の原因は全て米国と位置づけて、官僚と規制が支配するあの頃に戻りたがっているように見えます。かつて失敗した方法をもう一度採用しようとしているのです。不況の本当の原因は日本の構造それ自体にあるにも関わらず。

例えば雇用の問題にしても、セーフティネットを整備する努力をする代わりに、派遣の規制を強化することで乗り切ろうとしています。正社員の就職先すらなかったあの頃をもう忘れてしまったのでしょうか?

私は当時、就職氷河期世代。何とか無事に就職できたと思ったら、就職後にはリストラ教育の仕事なんてのもやりました。なぜわざわざそんな社会に逆戻ししようとするのでしょうか?派遣社員は不安定だったかも知れませんが、少なくとも仕事のチャンスはありました。再び仕事のチャンスすらない社会にしたいのでしょうか?

日本は金融危機当初、最も優位な立場にありました。健全な金融機関、高い危機管理能力をもつ経営者達。それらの要因は日本の評価を一気に高め、円は急速に高騰しました。それらが意味することは、かつて取られた政策のいくつかが成功していたという事実です。日本が一番、「微調整だけで済む国」だったはずなのです。ところが日本の政治家は、コレまでに進めてきた改革を止めることを選びました。改善ではなく、後退を選んだのです。かつての功績を冷静に評価して改善点を見いだすことを選ばず、敗者が敗者のスキームを声高に叫ぶことを後押ししています。唯一の救いは首相が消費税上げを公言していることくらいです。なぜなら、この借金はムダに終わっても、後の世代に借金を付け替える愚は避けられそうだからです。

今や日本は、米国に偉そうなことを言えるほど、立派なことは出来ていません。実績がそう物語っています。結果を見れば分かるでしょう。日本は長い不況の経験も、圧倒的に健全な金融機関も、全く活かせず、今再び敗者の側に回ったということが――。

 

あと、最後に補足。
現在の強気すぎるセンチメント(相場心理)は一度修正される必要があります。具体的には厳しい下落局面を年内にもう一度経験して、足場を固める必要があるということです。その場合の下落目処としては、NYダウは8000ドル、日経平均は9000円。即ち、現在の到達水準となります。

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