相場見通し

為替相場に重大異変の兆候?リスク志向の賞味期限切れと全通貨パリティ【ウチ】

こうした中、為替相場では「株高=円安、ドル安」の構図が崩れかけている可能性が出てきたのです。つまり、株価とリスク志向の回復という材料を全て織り込み、為替相場本来の題材である「各国のマクロ指標」「各国の金融政策」に話題が移ったと言うことです。

上記、極論を書いたつもりで、自分もホントに信じてトレードしていたわけではないのですが・・・。こういう事って自分で文字にして、後から読み返して初めて気づくこともあります。

パリティ云々は言いすぎだったにしても、為替相場の材料が変わりつつあることは認める必要があると思います。これまで為替相場を支配していたリスク志向と株価の影響力が弱まり、各国の経済状況や通貨政策に注目が戻ってきているということです。言い換えれば、為替相場が健全化したということです。

今にして考えれば、上記エントリを上げた翌日(週明け)の段階で自分の違和感を信じて積極的にポジションクローズしておけばよかったのですが、まぁそれは神様ではないので、ムリでしょうね。むしろ今の段階で素直に仕切りなおし戦略がとれたのは上記エントリを上げて自分なりに考えた成果だと前向きに考えることにします。

なお、せっかくの機会ですので、材料の比重の変化を下記にまとめておきます。

比重が高まったと思われる材料

  1. 実体経済を示す経済指標
  2. 通貨政策
  3. 各国財政
  4. 物価(商品相場)

 

比重が低下したと思われる材料

  1. 株価
  2. 住宅系指標の改善
  3. 金融機関の健全化
  4. GMの破産申請

 

あとはいつも通り、各通貨の見通しです。

 

● ドル円

いよいよ本格調整局面。相場の興味も売りに移っているようです。一昨日、日足でトレンドラインを小さく割ったのが痛かったですね。誤差の範囲とか思ってたのですが・・・・。

また、小売売上高が予想を明確に下回ったことで、実体経済が伴わないインフレ、即ちスタグフレーションの再来を意識させたのかもしれません。ただ、先日からの下落を冷静に思い返せば小売売上高一本のネタでここまで引っ張ってきているわけであり、ネタの割には落ちすぎなのは間違いないでしょう。結局、ショートカバーで急速に戻してきており、「100円に吸い込まれやすい」というずっと掲げている基本的な兆候は未だ続いているように思われます。

長期の95~105円のレンジというざっくりした相場観を踏まえて、上値目標を100.80において、買いなおしを行いたいと思います。目先はさらに97円までの下押しの恐れがありますが、ここで支えられれば、再び100円に向かうと思われます。またNY終値が90円を回復したままであれば、やはりコレも買いシグナルです。100.80を越えれば102.50円前後となりそうです。

しかし、100円後半ではまず売りを試すのがよい戦略と思われます。また、急速に戻してはいますが、もうひと売りくらいはできそうに思います。

ドルと円の総合的な力関係(ファンダメンタルズ)にそう大きな強弱はないと考えましょう。それが分かり易い水準である100円に吸い込まれやすい理由です。せっかくですので、材料を復習しましょう。

 

米国(ドル)の強気材料

  • 銀行の業績回復
  • 株価の戻り

 

日本(円)の強気材料

  • 米国の量的緩和の行きすぎ(スタグフレーション懸念)
  • 日本の政治リスクの後退
  • 外債投資の見送り観測(かんぽの件からの連想)
  • 株価の下落

 

こうした判断に悩ましい材料にはさまれ、ドル円は身動きが取りづらく、引き続きパリティへの圧力を受けやすいと考えます。これは、上値も下値もです。

これを踏まえて、戦術もレンジに適したものに切り替えましょう。積み上げと逆張りによるポジション調整戦略を一旦撤回し、レンジ内での短期トレードを行います。併せて売りポジションの日越えも復活させます。

 

●  欧州通貨

「テクニカルに面白い状況」と先日書きました。冒頭のパリティ主義に基づけば、ユーロは下押しということになりますが、ぶっちゃけそんな気の長いトレンドの話より、毎日のテクニカル分析のほうを優先します(ドル円の場合は先日の下落で、テクニカルに見ても悪い)。

ユーロについては先行下落で底値を固めている可能性があり、一方で昨年9月や年末の一時的な急騰などを結んだトレンドラインが成立している可能性もあります。このトレンドラインを上抜けすれば、1.40あたりは手堅い目標と思われます。

問題はその巨大持合をした抜けしたときのことで・・・・。確実性の買いというよりは、期待値による買い(取ったリスクのわりにリターンが大きい)と考えたいところです。

危険なのは1.31割れが発生したとき。相場のリスク志向が後退するこの局面での1.31割れはユーロの本来的な弱さ、つまりパリティへの圧力を示唆するとも考えられますので、戦略そのものを素直に仕切りなおしたほうが良いでしょう。

なお、戻り売りも良い選択です。1.35台まで戻したら売りましょう。もし、1.36を上抜けたら?その場合は1.40を目指す可能性がありますので、手仕舞いです。米国が量的緩和からの撤退前倒しを示唆していることを考えると、出口戦略は成功するとは思われますから、リスク志向との連動が復活しない限りは売り戦略の方が手堅さがありそうです。

 

● 豪ドル

調整は入ったものの、まだ底堅い。ただ、ここらで利益を確定しましょう。そして戻り買いの準備をあらためてします。

0.710までの下落では調整の範疇。ドル円が既に調整を超えて下落しているのとは対照的です。ただ、ここまで耐えるのに0.72台のサポートを使い果たしてしまったのは痛いところ。0.7050~0.730のレンジを意識した戦術が有効と思われます。

先日は「0.71あたりまでの下落後に買い直しというのが最も嬉しいシナリオです。」と書きました。下落がこのあたりで止まるようなら、しっかり買いを入れたいところです。

逆に0.70あたりには巨大な損切り注文が溜まっているようですので、この水準に達する前には決断が必要でしょう。そういう意味でも、0.7050というのはレンジ下限として良い目処と考えられます。

豪ドルはこのラインで支えられる限り、まだ積み上げ戦略が有効と思われます。ドル円は戦略から変えましたが、豪ドルは特にドル安(量的緩和懸念)に支えられている為、センチメントに重大な問題が生じない限り下値も限定的と考えています。下値を確認してから、またゆっくり積み上げる戦略と行きたいと思います。

目先は上記レンジを目安に売り込んでいいと思います。

 

豪ドルの強気材料

  • 量的緩和の可能性がない、数少ない先進国
  • 中国の景気底打ちとそれに伴う商品相場の回復
  • 株価の上昇

なお、もし行き過ぎた米国の量的緩和でスタグフレーションが発生した場合、豪ドルは唯一の投資対象となります。昨年の金融危機前の状況ですね。そのような事態になる可能性は極めて低いでしょうが、ポートフォリオという観点からは意識しておきたいところです。

 

● 日経平均

株価もまだ調整に過ぎない状況ではあります。ただ、本格的な調整相場に入った恐れのある今ですので、しっかり底値を確認してから買いなおしたいところです。

特に相場は売り込み材料を探しているような状況。こういうときは一度売り込まないと気がすまないという向きが多いので、どこかで「ガス抜き」がどうしても必要になります。もちろん、ガスが抜けたところはしっかり買いましょう。ただし為替と違って、ガスを抜いても抜いても底堅いというのが株式相場のちがうところ。

4月中はまだ上げ相場が基本と考えています。今後のためには4月内に9000円を回復しておいて欲しいものです。

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