相場見通し

海外ではまたしても円の評価が上昇しています。理由はまたしてもリスク回避。ただし今度は不況というよりも、各国の通貨安政策に対しての安心感によるものです。

つまり、各国の通貨政策が行き過ぎて通貨の価値が下落するリスク注目したものです。米ドルに関しては行き過ぎた量的緩和に対する懸念、ユーロについてはこれから量的緩和を行うなど、行動が遅すぎて通貨を信任できない懸念。豪ドルは利下げ余地に対する懸念、などです。この3通貨の中では利下げ着地地点が見えており、量的緩和の観測がない豪ドルが底堅く、次に不況の底を打ちつつある米国、何もかもさっぱりダメなユーロ圏、という順の強さになっていると考えます。


● ドル円

株価の下落局面において、ドル円が明確に売り込まれるようになったのは興味深い事実です。リスク回避の円買いの構図が復活したと考えられます。明確に戦略を転換すべきと考えています。ただし大局のレンジ感、95~105円の観測は維持します。

現在、若干の円高傾向となっている背景として、2つの理由が考えられます(いずれも海外勢の評価を想定)。

・織り込み済みであった政治リスクに、多少の改善が見られているため
・日銀のスタンスがバランス感覚が良いとして、景気緩和局面の今になって評価されているため(円の通貨政策に対する信任)

ここまで材料が揃えば、主軸を円高期待に転換する理由には十分とは思います。ただ、これから円高が進むか円安が進むかについては専門家の間でも意見が真っ二つに分かれています。

これは昨年までに見られた「ファンダメンタルズに対する意見が真っ二つに分かれている為、テクニカルを材料に日々のトレードをこなしてみたら、結局レンジ」という相場の再来とも思えます。

また、中川ショックのときのように「明らかに織り込み不足の材料があるのに、それを理解できずに、円安を理解できない」という状況ではなく、むしろさまざまな材料を織り込みすぎている状態と見えます。

以上、前置きが長くなりましたが、要は材料への反応が鈍いのでテクニカルの比重を上げていきましょうよ、ということです。目先のレンジ幅は97~100円を想定。100円を越えれば次は100.80円となります。一方、97円を割れば95円あたりまでの下落の恐れがあります。

目先は引き続き売り圧力の方が強いと判断します。先日書いたとおり、97円までの下落はそもそも見込んでおり、97円台は買い水準ですが、先月のように重要目処を割り込んでもあっという間に戻ってくるような地合いではありません。

それは円に対するセンチメントが変化した為です。中川ショック後の環境では政治リスクに対する懸念から、円を買っていることそのものに対する恐怖感が市場にはありましたが、現在はそのようなものはなくなっており、円高を止める要素が一つ失われています。

一方で、リスク志向を理由に売られたものは、リスク志向が後退すれば買い戻されるのもまた事実。今はまさに太平の世の中。トレンドに去年のような大きな偏りはありません。一方的な強気相場が終了した今、売りも買いも柔軟に&しっかりやる本来の姿に回帰するべきであると考えます。小さく売りを入れながら、次のトレンドを探りましょう。97円で止まるかどうかが重要な判断基準です。

 

● ユーロ

1.29台にあると思われた買いが実はほとんどなく、ストンと1.290まで落ちてしまったのは予定外でした。結局その後は1.290がサポートとして機能しているようです。

ユーロの場合は通貨政策に対する信任そのものに問題があるため、現行の水準から突っ込んで買いに行くことは避けたほうが良いでしょう。せめてもう少し1.28台まで引き付けて底値を確認したいです。

基本的には売り安心感があり、1.31を越えない限りは細かく戻り売りを仕掛けるのがよいと思われます。

 

● 豪ドル

0.705のサポートを割れ0.700のストップを付けて下落してしまいました。ただ現状では0.700を回復しており、基本的にはこの水準で買えていれば上々だと思います。危険水域である0.6900あたりに損切りを入れるくらいのペースがよいと思います。

円については相場の前提に変化が見られますが、豪ドル(USD/AUD)については特段の変化は生じていないと考えます。単にリスク志向に連動しているだけ。もっと具体的に言えば、VIXに逆相関です。昨日に関しては商品相場の下落も影響したかもしれません。ただいずれも、これまでの相場の延長線上にある動きであり、戦略そのものの変更を要するような事態ではないと考えています。現在は売り圧力が勢いづいていますので、くれぐれも買いポジションを増やしすぎないように注意が必要です。

 

● 日経平均

急落報道が世間をにぎわせていますが、私に言わせれば全く大したことはありません。相場は調整不足のまま身動きが取れない中、下落調整の材料探しに躍起になっており、そこにバンクオブアメリカの決算がたまたま材料になっただけです。

そもそも、いくら黒字を織り込み済みだったからとはいえ「貸し倒れ引当金を積み増していたから」という理由での下落は、かなり強引な気がします。相当分、事実確認の売りが入っていたと見るべきでしょう。

チャートで底打ち型を確認できたら、買いを入れておきたい状況。少ないポジションなら思い切った逆張りもよいと思いますが、ひとまずはダウの下げ止まりを待つのが無難です。きっかけは強引な材料ですが、株式は勢いがついたらなかなかとまりませんので。さすがに一日そこらでは調整は終わらないと考えています。また、株式の場合はチャート云々よりも、そろそろ次の材料が欲しい気がします。

1件のコメント

  1. な・・・・、何が起きた?調整相場もう終了?
    豪ドルは想定の範囲内、ドル円はちょっと予想外(最終的には短期の想定レンジに収まると現時点でも考えている)、ダウはいきなり予想外(今週中は調整のイメージだった)。
    やはり調整のきっかけになった材料が「貸し倒れ引当金を積み増した」ではあまりに強引すぎたということか。
    豪ドルの買いが終わっていなかったら泣いていたかも知れない。

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