定額給付金とモラルの退廃【朝日新聞】
もっと問題なのは、この定額給付金を評価しないという声が多いのに、辞退者がごく少ないという事実だ。まさにモラルの退廃である。最近の主要なマスコミの世論調査によると、定額給付金を「評価しない」とする意見が大体6割前後である。これに対し、「受けとらない」とする回答はほんの数%に過ぎない。評価しないなら、受け取らないのが筋であろう。
私は受け取りますよ。定額給付金には反対ですけど。また、他に同じように考えている皆さんにも受け取ることをオススメします。それ以前にそもそも、反対のウチの多くは金額が少なすぎるという理由だったはずですが・・・・。自分たちの調査結果まで忘れてしまったというのでしょうか?
だいたい、定額給付金とかいってなにやらありがたそうに配っていますが、これ元々は我々が払った税金ですよ。一種の減税策であり、与党議員もそのように発言しています。さらに言えば、どんなに取り繕っても定額給付金の財源は国の借金です。国の財政は赤字なんですから、どこを財源にしようが最終的には内部の費用項目の付け替えに過ぎない。
すなわち、国民に対する借金の強要といってもいいでしょう。強制的に借金させて、もっと金を使えといっているわけです。もっとも、そういうと聞こえは悪いですが、不況下にあっては消費刺激が重要なことは間違いありませんので、そうした劇薬的手段も許されるとはおもいます。
ただ間違いなく言えるのは、こっちは無理やり借金させられているのに、わざわざ辞退をして、借金した金を金の使い方を知らない政治家や官僚にくれてやれというわけですから、もはや論理が破綻しています。
モラル以前に基本的知性が不足しているのではないでしょうか?そういう考えの浅さが、マスコミ全体を覆っていることが、日本をここまで追い込んでいる重大な原因の一つであると私は考えています。感情論だの根性論だので、景気が回復するなら何の苦労もありません。
まぁ、私の場合は定額給付金それ自体に反対というよりは、定額給付金をねじ込む為に数ヶ月という時間を無駄にしたということが気に入らないので、そういう意味では反対の理由が他の人とはちょっとずれているかもしれませんが・・・・。今後さらに数ヶ月という時間が無駄に浪費されていくことを考えると、泣けてきますねぇ。
米国では景気底打ちの兆候が見え始めており、2009年下期で底打ちするという観測が現実を帯び始めています。今日は住宅関係の指標がまた上ぶれました。
一方日本では、2009年の9月ごろようやく選挙が行われる予定です。その間、もはや死に体であることが明らかである内閣が、内政と外交を担当します。内政はちょっと「あ、もしかしたら?」的な期待もありますが、もはや外交はどうしようもない。日々、時間という損失が積み上げられていきます。