今日の為替見通し

 ● ドル円

 ドルストレートを売るなら、ドル円を買え!という勢いだったのですが、コレを書いている時点で97円。美味しいポイントは通過してしまいましたね。

96円を東京市場で上抜けました。もはや東京市場は円高を期待する市場ではなく、円安を期待する市場となっています。NY市場で円高が進み、東京市場で円安が進んでいます。短期筋主導の円安が終了し、本来的トレンドとしての円安が進んできていると考えられます。

実際、先週のIMMポジションをみると短期に円が買われていたことが分かります。今円を積極的に買う理由はないわけですから、先週の動きは短期筋主導のオーバーシュートがかなりの分あったと考えて良さそうです。

また特徴的なのは、東京市場でドル円・クロス円の上昇が同時に進んでいるということです。先週の動きは米ドルの都合を主体とした動きでしたが、今週の東京市場では早速、円を主体としてリスク志向の改善に素直に反応していると考えるべきでしょう。

96円を明確に突破したことで、99~96円のレンジに回帰したと判断します。しかも下値は依然として固く、オーバーシュートしたところは積極的に拾っていくべきと判断します。このまま96~99円での持合を形成し、100円越えを目指すと考えられます。

ここまで何度も99円台で押し返されたものの、逆に下値を複数回確認した状況でむしろ、100円突破の可能性はさらに高まっているといえるでしょう。100円の壁は意外と低く、主力は巨額のOPバリアですが、短期筋の売り志向が99円台に傾いていることを考えれば100円接近水準では短期の買い圧力がむしろ大きくなると考えられます。即ち、99円越えが安定すれば程なくして突破される水準です。

今後の戦術としては、まず残しておいた94円水準のポジションは一部を利益確定した上で、再度95円が攻められるまで徹底的に引き伸ばします。96円前半水準では戻り買いで積み増し、99円水準で一旦利益を確定します。ただし、この目標はテクニカル分析を足がかりに微調整。具体的には98円台が重くなっている可能性があり、その場合は98円で一旦利益を確定し、持合が放たれるポイントを探します。

一方、売りのシナリオとしては、98円台まで待っての戻り売りが無難と思います。また、現在ドル円はリスク志向の改善を受けて上昇していますので、これを覆すようなニュースをきっかけにして売りに転じるというところでしょうか。

FRBの量的緩和云々という話はありますが、昨今のトレンドを形成の根幹を成しているのは予想外に下げ止まっている米国経済にあります。もし単に、FRBによる量的緩和だけが材料であれば、円安が進捗する理由は説明が付かないでしょう。なにより、FRBによる量的緩和ネタが出る前から、ユーロ、豪ドル、ランドなどでレンジ上限を試す動きが始まっていました。

● ユーロ

1.350が心理的節目としても固いサポートを形成する一方、上値も1.37台が重そうです。今日のコアレンジとしては1.350~1.37を意識します。

ひとまずはレンジ相場を意識しますが、1.37台の突破は上値を追ってみたいところ。次は心理的節目である1.40となります。短期のレンジを意識しながら買い、1.40を狙うのが戦術としては無難でしょうか。

売りも当然上記のレンジを前提にすると良さそうですが、売り込むためには株価の下落などの材料が必要になると思います。

● 豪ドル

クロス円での買いを受けて、目先の0.692の壁を上抜けたものの、0.70の壁にはじき返されました。さらにいうと、0.70前半には過去の高値があります。

既に短期筋の買いポジションが溜まっていることもあり、突っ込んで買うことには警戒が必要です。0.69台の買いは微妙な判断といえるでしょう。むしろ0.705越えを確認して上値を追うか、一度下値を固めるのを待ったほうがよいと思われます。

売りは0.700を意識すると良さそうです。逆指値はもちろん0.705の抵抗を意識して設定します。

ここからは株価次第。買い一辺倒は一旦お休みして、小さく取引しながら0.705の攻防を見極めましょう。

● ランド

項目を分けて書くのは久しぶり。
今日、極めて重要な動きとしてついに、ZAR/円が10円を突破しました。これまで9~10円のレンジがコンセンサスとなっており、多くのトレーダーに良好なレンジ相場を提供してきたZARですが、ついにレンジ上限を突破したわけです。私はZARの動向をリスク志向のバロメーターとして利用しています。

高リスク通貨であるZARがクロス円でレンジを抜けたのは極めて大きな意味を持ちます。またついでに書くと、WTI原油価格も50ドルを越え、こちらもレンジを放たれています。

10円を越える水準が維持されている間は、他通貨でもリスク志向の拡大傾向が続くと考えましょう。

ただ、このリスク志向の改善も「予想外の」という前置きが付きます。端的に言うと、予想外分の折込が終了したら相場は下落するということです。当たり前ではありますが。

本来的な経済基盤の脆弱性は続いていますので、何でもかんでもかって引っ張るのではなく、ポイントポイントで利食いをいれる必要性はこれまでとなんら代わりはありません。もしくは逆に割り切って、小額のポジションを積み立てていく積み立て投資を開始するか。

そうなると金利動向が気になるところですが、目先100bpの利下げまでは織り込み済みです。とはいえ2009年内の利下げ傾向は否定しがたく、むしろ注目すべきは商品価格の持ち直しによる、南アフリカ経済の下支え&微弱インフレ傾向かもしれません。原油価格がレンジを上抜けていることもあり、他通貨よりもランドのほうが景気改善動向に敏感に反応しそうです。まぁ、それも良し悪しですが。

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