そして広まるタミフルの効果への風説

<主張>タミフルは効かない可能性大--豚インフルエンザ「人-人」感染の恐怖【アクセスジャーナル】

タミフルはそもそも“予防”ではなく“治療”薬で、その効果は“発症”してではなく、“感染”して48時間内でないと効果がほとんど期待できない。だが、わが国政府は米国の意向を受けたタミフル在庫処理への協力のために、その不都合な事実を正確に伝えていない可能性大だからだ。

上記は嘘、もしくは風説ですね。感染からではなく発症後48時間以内であれば効果があります。逆に何故48時間経過後に飲んでも効果がないのか?その根拠も極めて明快です。

タミフルはインフルエンザにかかった後、何日目から服用しても効果は変わらないのか?【中外製薬】

インフルエンザウイルスは感染後約2日で最も数が多くなり、その後、減少します。タミフルはウイルスの増殖を抑える薬なので、発症してからタミフル服用までの時間が短ければ短いほど熱が下がるまでの時間が短いことが報告されており、発症後48時間以内の服用が有効と考えられています。(48時間以降の服用で有効性を裏付けるデータは得られていません)

要は、48時間以降では人間の免疫機能が働き始めるウィルスが勝手に減っていくので、わざわざタミフルを飲むまでもないということです。タミフルも副作用の恐れがある薬ですから、副作用のリスクを負ってまでメリットのなくなってしまった薬を飲む必要はないでしょう?

タミフルという議論を呼んでいる薬が云々の話以前に、インフルエンザ発症から何日程度で直るかという、ごくありふれたインフルエンザに関する知識で理解することが出来るはずです。日本の義務教育では、免疫機構が有効に働くまでに何日かかるか教育もしていますしね。

また上記はタミフルの販売元である中外製薬ですが、48時間経過後に飲んでも効果のないことは明言されていますし、それは国内での臨床試験に基づいたものです。誰も不都合な事実を隠してなどいません。

自分達がそうした情報を知らない、もしくは調べていないことをもって「不都合な事実を正確に伝えていない可能性大」などというのは、さすがにどうなんだろうかと思います。だいたい、本当に効果がなかったら、コレだけ大量に処方されているのですから、さすがに誰かが気づくでしょう。

マスコミの論調に昔から、ネット上で公式に公開されている情報すら調べず「情報を隠蔽している」などというものがありますが、いい加減に改めてもらいたいとは常々思っています。それは個人であっても同じこと。個人ではチェック機能が効かないだけそういう努力も大変なわけですが・・・・。少なくとも事後的な訂正は最低限必要だと思うわけです。

なお、私は本職はシステムエンジニア。医学的な専門知識は持ち合わせていませんが、上記の報道が嘘であることを確認するのに要した時間は10分です。そして私は報道の専門家ではありません。そんな私が10分で検証できることを、報道の専門家達が何故、出来ないのでしょうか?もしくはやらないのでしょうか?

公開されていない情報ならやむを得ないと思うのですが、これ思いきり公開情報ですよ・・・・。こういう時に根拠のない様々な風説が広がることは社会を混乱させますので、より慎重になる必要があると思います。

まぁ、しかし・・・・。そうは言っても、専門的な知識を要するものに関しての報道は特に根拠のない嘘が広まりやすいものです。こうした嘘をしっかりと見抜くことが、自分自身の身を守るためにまずは重要なことでしょう。それはインフルエンザに限らず、ですよね。

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