東レ経営研究所、新型インフルで休園・休校に伴い親が欠勤する「職場コスト」試算を発表
平日5日のうち母が2日、父が1日、残り2日は祖父母などに預けたなど複数ケースを仮定した。職場コストの試算結果をみると、兵庫県、大阪府では約17億円にのぼった。仮に、首都圏で同様の事態が発生した場合には、企業が被る経済的損失は400億円を超えるとみられる。また、強毒性の新型インフルエンザが流行した場合の損失額は10~100倍以上になると推計される。
このコストを見れば、タミフルなんぞ安いもんだと思わないでしょうか?今更「タミフルの効果は24~48時間、回復を早めるに過ぎない」ということを知って驚いている人もいるようですが、これらは医療界ではほぼ常識の範疇。実際、販売元からもそのまま発表されている情報です。
一日3万円の経済損失に対して、タミフルの薬価は3000円程度に過ぎません。ちなみに鳥インフルエンザに至っては、タミフルを処方しなかった場合は100%死ぬという過激な意見もある。まぁ実際のところ、正確な数値は不明と言うべきだが、タミフルを処方した場合でも・・・・・
戦慄の致死率81%! 鳥インフルエンザの恐怖【小豆沢整形外科 院長ブログ】
トリからヒトに感染するトリ・インフルエンザは「H5N1亜型ウィルス」とされます。
2005年から2008年の間、インドネシアでH5N1亜型ウィルス感染と診断された127例のうち、死亡したのは103例にも達しました。これは81%もの高い確率で死亡したことになります。
患者ごとの経過を調べると、発症から2日未満の早期にタミフルの内服を開始した人の方が、それより治療が遅れた人よりも生存率が高かったことがわかりました。
タミフルはトリインフルエンザに対して有効ではありますが、確実に救命できるとは言えません。
死亡率を下げ、治りやすくなる効果は発揮しますが、トリ・インフルエンザはかかってしまうと、死の可能性が高い恐ろしい感染症です。発症から2~4日でタミフル治療を開始された人でも、64%が亡くなりました。
これによればつまり、タミフルの効果は20%死亡率を下げる程度と言うことができます。
この数字をみて大したことないと思いますか?患者の5人に1人を、たった3000円の薬で救えるのですから、これほど安いものはないと私は思うのですが、まぁ考え方は人それぞれかもしれません。ですのでこちらも数字に直しましょう。
新型インフルエンザのシミュレーションと被害予測【産科医療のこれから】
他方で,死亡に関しては全く想像の域を出ない.日本においては季節性インフルエンザに関連して平均1万人が死亡している.したがって致死率は0.1%以下である.
スペインかぜの際の致死率は,地域によって大きく異なるが2%とされている.平成19年3月26日に策定された「新型インフルエンザ対策ガイドライン(フェーズ4以降)」では,この致死率2%を最悪の想定としており,感染者数3,200万人,死亡者故64万人としている
あぁ、そうそう。比較対象があったほうがわかりやすいですよね。
温暖化で年30万人死亡 12兆円の経済損失と報告書【くまにちコム】
温暖化によって世界の3億人超が深刻な影響を受け、経済的な損失は年約1250億ドル(約12兆円)と推定。2030年までに温暖化による死者が最大で年50万人に達し、経済的な損失は年3400億ドルに上る可能性があると指摘した。
こうして考えれば、少なくともタミフルの備蓄は十分経済合理性にかなうといえるのではないでしょうか。しかし、豚インフルエンザで再びパンでミックの脅威を学んだにもかかわらず、未だにタミフルの備蓄など無意味だという人がまだいます。いかにももっともらしい理由をつけて、です。
しかしそのもっともらしい理由は――。例えば24時間というタミフルの効果を「たった24時間に過ぎないから効果がない」というか「24時間も回復を早められる」というかの違いだったりします。表現一つで人への伝わり方は随分と違います。何らかのバイアスを持って書けば、なおさらのことです。
だから私は、お金という尺度を持ち出して説明しました。人の命をお金で勘定するなんて不謹慎だと言われるかも知れません。しかし、不謹慎発言で人が死ぬことはありませんが「タミフル不要」という意見を放置しておけば、いつか人が死にますから。
選挙が話題の昨今、一応公正のために、下記のようなニュースも紹介しておきますが、
なぜ医薬品のネット販売は禁止されたのか。クスリと政治と選挙の関係【日経ビジネスオンライン】
日本薬剤師連盟による政治献金等の金額は、2005年から2007年の3年間で、14億2700万円に上る。内訳は、麻生太郎総理大臣へ800万円、津島雄二元厚相へ1220万円など。自民党関連に9億円ものカネが渡っている。
この件に関しては、政府がどうとか政権がどうとか政党がどうとか、そういう話とは切り離して考えて欲しいものです