
宇宙は巨大なコンピューター
宇宙は情報、宇宙は計算
現代ではホログラフィック原理のおかげで、
我々はそれが本当かもしれないと知っています。
しかしこんな発想、一体だれが考え始めたのでしょうか?
実はその源流は、
コンピューターが誕生する直前にあるのです
コンピューターというものが存在しない時代に、
コンピューターを発明するまるでついでのように、、
ある天才たちが考え始めたのです
さらに言えば
「宇宙は論理や計算で記述できるのではないか」
という発想そのものは、
なんと18世紀にはすでに現れていました。、
実は、
コンピューターという概念そのものが、
宇宙を理解しようとする試みの中から生まれたとも言えるのです。
コンピューター誕生前時代
その代表的な人物が、
18世紀の哲学者であり数学者、
Gottfried Wilhelm Leibniz です。
ライプニッツは、
世界は論理で記述できると考えました。
そして彼は、
ある奇妙な数学を発明します。
それが――二進法です。
0と1だけで数を表すこの仕組みは、
現代のコンピューターの基礎そのものです。
しかしライプニッツにとって、
二進法は単なる数学ではありませんでした。
彼はこう考えたのです。
宇宙そのものが、
論理によって構成されているのではないか。
つまり、
宇宙
=
論理
=
計算
という発想です。
この考え方は、
19世紀の物理学へと受け継がれていきます。
登場するのは
統計力学の父、
Ludwig Boltzmann。
ボルツマンは、
物理学にエントロピーという概念を導入しました。
そして彼は、
驚くべき式を書き残します。
S = k log W
これは、
宇宙の状態
=
情報の数
という意味です。
つまり物理学はここで、
宇宙を情報として扱い始めたのです。
そして20世紀。
ついに物理学の革命が起きます。
登場するのは、
Albert Einstein。
アインシュタインは
相対性理論によって、
空間と時間そのものが
物理法則の一部であることを示しました。
宇宙は
絶対的な舞台ではなく、
数学的構造そのものだったのです。
ここで物理学者たちは
次第にこう考え始めます。
宇宙は、
単なる物質の集合ではない。
宇宙そのものが
数学で書かれているのではないか。
そしてこの発想は、
ついに20世紀後半、
コンピューターが誕生する時代に
新しい形を取ります。
ある人物が、
こう言い出したのです。
宇宙は巨大な計算機なのではないか。
ここから
チューリング
ツーゼ
デジタル物理学
につながります。
神の方程式を標榜した人物の代表格はアインシュタインですが、
歴史上じつにさまざまな天才たちが
神の方程式を標榜していました
コンピューターの発明者たち
そしてこの発想は、
20世紀、コンピューターの誕生とともに
一気に現実味を帯びてきます。
なぜなら人類はここで初めて、
「計算する機械」そのものを作り始めたからです。
まず登場するのが、
Alan Turing。
1936年、チューリングは
チューリングマシンという理論モデルを発表します。
これは、
あらゆる計算を
状態
↓
ルール
↓
次の状態
という単純な仕組みで
実行できることを示したものです。
つまり
計算とは、状態の更新である。
このモデルは後に
コンピューター科学の基礎になります。
しかしここで、
ある奇妙なことに気づく人が現れます。
もし計算とは
「状態をルールで更新すること」なら、
宇宙そのものも、
同じ形で説明できるのではないか?
そして1969年、
ある人物がこの発想を
ついに言葉にしてしまいます。
ドイツのコンピューター発明者、
Konrad Zuse。
彼は世界初のプログラム可能コンピューターの一つ
Z3を作った人物でもあります。
そして彼はこう主張しました。
宇宙は巨大な計算機なのではないか。
彼の著書
Rechnender Raum
の中で、
宇宙は
離散的なセル
+
更新ルール
で動く
セルオートマトンではないかと提案したのです。
つまり
宇宙
=
巨大な計算
という仮説です。
これは当時、
ほとんどSFのようなアイデアでした。
しかしこの発想は、
後の研究者たちに
大きな影響を与えることになります。
物理学者や数学者たちは
こう考え始めたのです。
もし宇宙が計算なら、
空間は
情報の構造かもしれない。
時間は
計算のステップかもしれない。
そして物理法則は
計算ルールそのものかもしれない。
この考え方はやがて
デジタル物理学
セルオートマトン宇宙
情報宇宙論
といった
新しい研究分野へと発展していきます。
しかしそれでも、
極めて長い間、デジタル物理学は
「荒唐無稽な思考実験」
「検証できるはずもない宗教のようなもの」
とすら、大衆に思われていたのです。
ブラックホールの時代
「検証できるはずもない宗教のようなもの」
そんな揶揄とも思える評価はあるものでひっくり返ります
それが――ブラックホールです。
ブラックホールはもともと、
アインシュタイン の
一般相対性理論から生まれた天体です。
しかし長い間、
多くの物理学者はこう考えていました。
ブラックホールとは
光すら逃げられない
完全な闇
だと。
つまり、
情報はすべて
消えてしまう
と考えられていたのです。
しかし1970年代、
一人の若い物理学者が
奇妙なことを言い始めます。
その人物が
Jacob Bekenstein。
彼はこう主張しました。
ブラックホールは
エントロピーを持つのではないか。
エントロピーとは
情報の量のことです。
つまり彼は
ブラックホールは
情報を持っている
と言ったのです。
当時このアイデアは
ほとんどの物理学者に
ありえない
と言われました。
ブラックホールは
何も出てこない天体です。
情報が残るはずがない。
そう考えられていたからです。
しかしここで、
もう一人の物理学者が登場します。
Stephen Hawking。
ホーキングは
ベッケンシュタインの考えを否定するために
計算を始めました。
ところが計算してみると
驚くべき結果が出ます。
ブラックホールは――
放射する。
つまり
ブラックホールは
完全な闇ではなく
熱を持つ天体
だったのです。
これが
ホーキング放射です。
ここで物理学者たちは
さらに奇妙な事実に気づきます。
ブラックホールの情報量は
体積ではなく
表面積
に比例していたのです。
普通の物理では
情報量は
体積に比例します。
しかしブラックホールでは
情報量
=
面積
だったのです。
ここで物理学者たちは
ある恐ろしい可能性に気づき始めます。
もしかすると
宇宙の情報量も
同じ法則に従っているのではないか?
つまり
宇宙は
体積ではなく
表面の情報
で記述されているのではないか?
このアイデアを
理論としてまとめたのが
Gerard ‘t Hooft
そして
Leonard Susskind。
彼らが提案したのが
ホログラフィック原理です。
ホログラフィック原理とは
簡単に言えば
三次元の宇宙は
二次元の情報で
記述できるかもしれない
という考えです。
つまり
宇宙
=
情報
という可能性です。
そしてここで、
半世紀前のある奇妙な発想が
再び浮かび上がります。
宇宙は
巨大な計算機
なのではないか。
空間は
情報の構造。
時間は
計算のステップ。
そして物理法則は
計算ルールなのではないか。
かつては
荒唐無稽な思考実験だったこの発想は、
ブラックホールの研究によって
現代物理学の中心問題
へと変わったのです。
この時代以降、
宇宙論では様々な物理学を当たり前のように
「情報量」と表現するようになります
現代と未来
こうして物理学はついに、
奇妙な地点にたどり着きました。
宇宙は
物質の集合ではなく、
情報の構造かもしれない。
そしてホログラフィック原理によって、
その可能性は
単なる哲学ではなく
物理学の仮説になりました。
そして現在、
物理学者たちはさらに大胆な問いを
立て始めています。
宇宙は
本当に情報でできているのか?
そしてもしそうなら――
宇宙は
計算しているのではないか。
この考え方を研究しているのが
量子情報理論や
量子重力理論の研究者たちです。
例えば
Seth Lloyd は
宇宙そのものを
量子コンピューターとして
考えることができると提案しました。
彼の計算では
宇宙はこれまでに
およそ
10^120
回もの演算を行ってきた可能性があります。
また別の研究では、
空間そのものが
量子情報の
絡み合い(エンタングルメント)
から生まれている可能性も
議論されています。
この研究には
Juan Maldacena
などが関わっています。
もしこれが正しければ、
空間とは
単なる舞台ではなく
情報の構造
ということになります。
つまり現代の物理学は
次の問いに
たどり着いています。
宇宙は
存在しているのか?
それとも
計算されているのか?
そしてもしこの仮説が
正しいとすれば、
私たちの宇宙は
巨大な計算の
一つの段階
なのかもしれません。
これまで他の動画も交え
以下をご紹介してきました
- 宇宙は1の自己参照から始まったかもしれない
- ならば宇宙は計算過程にすぎない
- 我々の宇宙は、計算の下書きノートのような存在
この発想全ては、実は半世紀にも及ぶ天才たちの偉業を、
現代の言葉で例えたにすぎません。
人類がコンピューターという概念を生み出したとき、
その究極の夢は一つでした。
計算によって宇宙を説明すること。
そして今、
その目標は荒唐無稽な思考実験から
物理学の現実的な研究テーマになったのです。
