米国の海底ケーブル事業者Pacific Crossing Limitedの買収について【NTTコミュニケーションズ】
日米間を結ぶ大容量の海底ケーブルを保有するPCLの株式を取得することで、日米間の保有ケーブル容量を更に強化し、お客さまのアジア・日本・米国間のインターネット・データトラヒック需要に応えていきます。 また、既にある日米ルートに加え、新規ルートの獲得により、日米間のインフラにおいて更なる信頼性の向上を実現していきます。
買収された海底ケーブルは通称PC-1と呼ばれる、その筋にはよく知られたケーブル。昔、富士通が工事を受注してちょいとニュースになったこともある。
大昔は半ば公共事業であった海底ケーブル敷設だが、現在では民間企業が敷設して普通にビジネスを行っている。ケーブルは通信能力の単位で切り売りされており、実は今回買収されたPC-1についても、KDDIが1Gbps分の使用権を獲得したことがある。「全通信能力の○分の1」とかいう買い方をしているわけだ。
ちなみにPC-1が敷設されたのは2000年頃。10年は経っていないが「何故今頃になってNTTコミュニケーションズが買収を?」という疑問を抱かせる程度には長い年月が経過している。
以前にも書いたが、例えばGoogleは100万台を超えるサーバーを世界中に配備し、ネットワークでそれを接続することでサービスを行っている。こうした技術はクラウドだのSaasだのと呼ばれており、次世代の主流になると考えられている。
ところが、これらの技術は実は、以外に危ういインフラの上に成り立っているのだ。ついこの間Googleが世界規模で起こした障害の理由が『ネットワークの設定を間違えたことによる、ネットワークの混雑』だったことを思い出せば、決して盤石のサービスとは言えないことが分かるはずだ。最近企業向けサービスの進出に熱心なGoogleも、自らのサービスを安心して企業に売り込むためには、十分以上に太くて頑丈なケーブルが世界に張り巡らされることが必要なのだ。Googleのサーバーは主に米国にあるが、サービスを主に売り込みたい国の一つは、未だにIT高コスト体質を脱却できない日本だ。
――私にGoogleの気持ちなど分かるはずがないと思うだろうか?その指摘は実に的を得ているが、こと今回のことに関してはGoogleが海底ケーブルを欲しがっているという証拠がある。
GoogleとKDDIなど、日米間の光海底ケーブル建設へ【IT media】
GoogleやKDDIなど6社は2月26日、日米間の光海底ケーブル「Unity」を共同で建設すると発表した。容量は最大7.68Tbps。総建設費は約3億ドル(320億円)で、2010年1~3月に運用を始める予定だ。
上記は2008年の話。既にGoogleもKDDIも2年前には手を打っていたということだ。まぁ、クラウドなどという言葉が流行始めたのはそのくらい昔にさかのぼる話だから、これも納得できる話だろう。ついでに言えば、Googleケータイなんてものの開発が始まっていたのもそのくらい昔の話だ。
海底ケーブルがなければケータイも使えない世の中は間近に迫っている。そんな中NTTコミュニケーションズが少し値は張っても海底ケーブルをまとめて買おうと考えても何ら不思議はないということだ。