アニメの若手 年収100万円【NHK】
平均年収は、20代の若手で110万円、30代でも214万円で、ほかの産業に比べて大幅に低い水準になっています。また、アニメの制作会社と雇用に関する契約を結んでいないという人が全体の47パーセント、健康診断を今まで受けたことがないという人が38%いて、不安定な雇用の実態が浮き彫りになっています。
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ところでちょっと考えて欲しい。アニメというのは日本が圧倒的に競争力を持っている分野だ。基本的に日本でしか造ることは出来ない上、クオリティの高い物を造るためには日本のアニメーターの力どうしても必要になる。だが実際には、制作費削減のため一部の制作工程は海外に外注されている。
最近では地産地消などと称して海外に工場を移転する例も見られるが、実際の理由は、要は企業にとって日本の高い人件費に見合うものが得られなくなったということだ。特に単純労働の分野において――。「派遣切り」という言葉が話題になって数ヶ月。あっという間に企業は「脱日本生産」に舵をきった。のど元過ぎれば熱さ忘れる。そもそも仕事すらない時代のことをすっかり忘れた人々の中からは、今度は派遣を止めろなどという過激論が飛び出した。結果はごらんの通り。おそらく今年のウチには現実を目の当たりにすることになるだろう。仕事があっただけマシだった、と。
たびたびアニメーターの過酷労働はネタにさせて頂いているが、私はむしろこのようにも考えている。「アニメーターでさえ年収100万円なのだから、他の単純労働の年収も国際競争にさらせば100万円程度になる」。
アニメ産業は国際的に競争力があり、しかも希な技術力を必要とし、しかも人員のモチベーションも高い。そうした業界で働くアニメーターの年収でさえ100万円に過ぎないというのに、国内の他の単純労働で年収300万円を期待できる理由がどこにあるというのだろうか?
金融危機のまっただ中の頃。TVで、日本に来ていたブラジルからの出稼ぎ労働者が「国元に仕送りが出来ない」と泣いているのを見た。一方で、東京の求人倍率は何故か1倍を超えたままだった。日本人は仕事を選んでいたのだ。
もし私が仕事を依頼するのなら、どちらに仕事を頼もうと考えるかは一目瞭然ではないだろうか?必死に仕事をしようと考えている海外出稼ぎ労働者に仕事に比べて、日本人の方がより高いクオリティを発揮できるという確証がどこにあるだろうか?(一部、そもそも基本的なモラルに欠ける人々はさておき)。
私は自分がいい加減な性分をしているから、逆に必死に仕事をする人たちがどれだけ安定して成果を残せるかを知っているつもりだ。そしてそれは、ビジネスにおいて割とフツーの感覚だと、私は確信している。実際、企業の経営者は早々に手を打っている。
いい加減、国がどうにかしてくれるなどという幻想は捨てるべきだ。このグローバル競争の中、この国の政府が国民の給与をどうにかしてくれると期待するのはあまりに楽観的に過ぎる。「漠然と日々を過ごせば、いつかは年収100万円」それが日本人に与えられた、現実だと知るべきだろう。