「地頭の良さ」とは何か? ― スマホの4G/5Gと同じ

社会では「あの人は地頭が良い」「回転が早い」といった評価をよく耳にします。
しかし、そもそも「地頭」とは何を指しているのか、昔はあまり解明されていませんでした。

ところがAIの発展が脳科学にもフィードバックを与え、人間の知性の仕組みが少しずつ明らかになりつつあります。
今回はこの「地頭」を、スマホの通信技術(4Gから5G)に例えながら考えてみましょう。


脳はどのようにして成長するのか?

学校では「脳の成長は早期に止まる」と教わった記憶はないでしょうか。
確かにニューロン数そのものは幼少期にほぼ決まります。

ただし、数が決まった後も脳は「内部の信号を細分化する」ことで性能を高め続けます。
これは半導体の進化よりも、スマホ通信の4Gから5Gへの進化の方が実態に近いでしょう。

4Gと5Gの通信速度の違いは、同じ電波をより細かく区切って使うことで実現されています。
いわば「紙により小さな字を書いて情報量を増やす」ようなものです。

脳も同じく、信号をどれだけ精密に処理できるかで性能が変わります。
細胞単位では0/1のデジタルですが、ニューロン間の通信はアナログ的。ここをどれだけ細分化できるかで、青年期以降も脳は成長可能なのです。

この「信号細分化のレベル」こそ、人がいう「地頭の良さ」の正体かもしれません。


脳の面積には限界がある

ただし脳には一つの制約があります。
それは「面積=ニューロン数には生まれつき限界がある」という点です。
人間の脳力は無限だと信じる俗説がありますが、最新の脳科学では「人間は脳をほぼ使い切っている」というのが定説です。

  • 処理能力(スピード)は信号の細分化で高められる。
  • 長期記憶(暗記)は幼少期の発達と遺伝でほぼ決まる。つまり脳の面積が限界を決めている。

IQ200と暗記の限界

信号細分化による処理能力の強化は、IQで表現すると、理論上200程度まで到達できると言われています。
これはアインシュタインをも凌ぐ水準であり、「地頭は鍛えれば限界はない」とも言っても差し支えはないでしょう。

一方で暗記(長期記憶)は多くの人がすでに限界を使い切っており、古い記憶を削除しながら日々を回しています。
つまり、処理能力は伸ばせるが、記憶容量は常に逼迫している、というわけです。


CPUとストレージが一体化した脳

スマホではCPU(処理)とストレージ(記憶)が分かれていますが、脳は同じ回路を共用しています。

  • スマホ:写真を撮ってもストレージが減るだけで処理速度は落ちない
  • 脳:記憶を詰め込むと処理速度にも影響が出る

小さな字を読めるようにするためには、それを処理する「面積」を消費する必要があります。
一度面積を消費して回路を書き込んでしまえば、小さな字を効率よく処理できるようになり、しかもその回路はずっと残ります。

しかし暗記ばかりにリソースを割くと、その回路を書き込む余裕が残っていないのです。

人間は使わない記憶をまっさらな回路へとリサイクルする能力を持っています。しかし長期記憶に限ってはリサイクルされるまでには多大な時間とコストを要します。その間、地頭の成長は阻害され続けます。

使わない記憶なんてさっさと忘れた方が良いのです。忘れるほど良いのです。
しかし世にはびこる暗記術は、忘れるような価値のない記憶を無理矢理脳の長期記憶として定着させてしまいます。

日本の「暗記偏重教育」がどれほど弊害を生んできたかを思うと、身に覚えのある世代には苦い話かもしれません。

現在、暗記偏重教育は既に大幅に改革されていると聞いていますので、日本の将来は大丈夫でしょうけど…
私ら世代は「俺らにいったになにしてくれとんねん」と言いたくはなりますね。


IT社会では「脳をどう鍛えるか」が重要になる

ただ安心してください。前述の通り、脳は不要な回路をリフレッシュして他の用途に再利用できます。
しかも信号細分化による性能向上は、健康寿命の範囲では生涯にわたって続きます。

だからこそ、脳をどの方向に鍛えるかがこれまで以上に重要になります。

  • 暗記重視か
  • 論理的処理重視か
  • あるいは感覚重視か?

戦略を決めたら後は鍛えるだけです。
スポーツの理論がそのまま脳にも応用出来ます。

文武両道という言葉がありますが、地頭と筋力は意外と関係性があります。
例えば大谷選手を見ていれば分かりますよね?

大谷翔平に学ぶ脳トレーニングのヒント

今最高のアスリートといえば、私はやっぱり大谷翔平選手だと思います。
大谷選手は筋肉や技術が素晴らしいだけでなく、トレーニングや体調管理を理論的にシステム化して実行しています。

脳も筋肉と同じで、上限はあるが鍛え方次第で性能を大きく引き上げられるのですから、
大谷選手のように「再現性あるトレーニングと自己管理」を取り入れれば、
我々の脳もかなりのところまで成長できるかもしれませんよ?


おわりに

  • 「地頭の良さ」とは、脳の信号をどれだけ細分化して処理できるかという能力。
  • その到達点はIQ200付近と考えられます。
  • ただし脳の面積には限界があり、多くの人は暗記にリソースを消費しています。
  • だからこそ、自分の脳を何に使うかを戦略的に考える必要があります。
  • アスリートの手法に学びながら脳を鍛えれば、社会での活躍の幅は確実に広がるでしょう。

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